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湯河原惣湯Books and Retreat

湯河原惣湯Books and Retreat

金属素材の「生々しさ」を過酷環境でいかに表現できるか。

濃厚な樹木の緑と湯煙の中に、鋼板の黒く光る生々しい金属の肌を対比させたい。そんなランドスケープデザインの方向性もあって、当初デザイナー様のオーダーは当社の耐候性鋼仕上でした。リン酸処理で表情をつくっていく耐候性鋼はそのイメージにぴったりでしたが、懸念材料として持ち上がったのは現場の環境です。湯河原温泉郷の中心、万葉公園に建設される「湯河原惣湯Books and Retreat」は、その名の通りの温泉施設。あたりに漂う硫黄成分は観光客には情緒でも、金属にとっては塩害や紫外線と同様に大きなリスクで、長期間晒されればいかに耐候性鋼でも仕上の表情が劣化してしまう恐れがありました。そこで代替策として選ばれたのが高耐食性メッキ鋼板仕上「CRAFT N.」です。Nはニュートラルの意味で彩度はなく、職人の研磨で描く水墨画のような深く豊かなグレートーンは、もやりの濃淡も手仕事で丁寧につけられるため機械的なパターンがなく万葉公園の緑にも自然に溶け込み、施工後はCRAFT N.を今回初めて用いたデザイナー様からも大変ご満足いただけました。環境要因を妥協の口実に、「美」と「質」の両立を諦めてはいけない。そんな教訓が得られた仕事になりました。

最終的な決定サンプルはこちらとなり、
湯河原惣湯 Books and Retreat はこのサンプルを基準に作成されました。
メッキ鋼板 CRAFT N.-特注色

※CRAFT N.(高耐食性メッキ鋼板)についてはこちら

※ZCFC(高耐食性メッキ鋼板)についてはこちら

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