東京都心の主要エリアへのアクセスにも優れた池袋駅から徒歩7分の場所に立地する「ザ・ライオンズ池袋」。本物件は2023年に竣工し、都市生活を快適に送るための洗練された住環境を提供しています。
今回、このマンションでフロントが採用されたのは、ポーチの壁・天井パネル、エントランスホールの天井パネル、集合玄関機、そしてラウンジのアートスペースに設けられたの飾り格子棚。迎賓空間を彩る金物として、高級感や意匠性を高めることが求められました。
高さ5mを超える壁パネルと、その壁パネルと同仕上の天井パネルは、エントランスの自動ドアまでゲートのように続く姿が印象的です。
この壁・天井パネルは、エントランス全体に落ち着きある品格を演出させるため、厚さ2.0mmのステンレスのカットパネルに統一し、素材の持つ重厚さと高級感を際立たせました。また、15mm幅の目地で整然と揃え空間に統一感を持たせています。さらに、目地の交差部分にダウンライトを組み込むことで、金属特有のきらめきを強調させながら、やわらかな光で圧迫感を感じさせない空間となりました。
仕上の点で、デザイナーの方から求められていたものは「輝き」「きらめき」でした。このキーワードを仕上で実現させるため、試作段階では複数の大判サンプルを作成し、微妙な色調や質感の違いを確認していきました。
最終的に採用されたのは、赤味を帯びたブロンズカラー。この仕上はライトや自然光に照らされることで、金属ならではの輝きと深みを引き出し、建築全体に奥行きと表情を与えます。また、仕上の斑模様が陰影を生み出し、空間に重厚感とコントラストを加える仕上がりになりました。
ラウンジに設置された丸パイプによる格子棚も、フロントの仕上のこだわりが光る箇所の1つです。
デザイナーの方からのご要望は、「真鍮のような深みのあるゴールド」。私たちはこのご要望に対し、研磨と塗装の技術で、色の深さと輝きのバランスを追求しました。手作業の研磨によって表情に強弱がつき、照明の光で表情豊かに輝く高級感あるゴールドを実現させました。こだわりの仕上によって、この格子棚が空間を飾るアートやオブジェを引き立てる「額縁」のような存在に昇華したように思います。
金属という素材が持つ美しさ・重厚さと、私たちが行った試行錯誤と職人技の積み重ねが、ザ・ライオンズ池袋の空間全体の品格にすこしでも貢献できていれば幸いです。
これからもフロントは、こうした細部へのこだわりを大切に、建築空間に新たな価値を加えるものづくりを続けてまいります。
ステンレス / 壁パネル、天井パネル、飾り格子棚、集合玄関機 / クラフトステンレス特注仕上
設計:UDS株式会社
施工:佐藤工業株式会社
竣工:2023年6月
場所:東京都豊島区